多事多端
- 意味
- 非常に多忙で、次から次へとやることがある状態。
用例
仕事や公務などで、日常的に多くの用件や課題に追われているような場面で使われます。
- 年度末のこの時期は多事多端で、休む暇もない。
- 緊急対応が続いていて、彼は多事多端な毎日を過ごしている。
- 政治家にとって多事多端な局面こそ、真価が問われる。
これらの例では、物事が集中して発生している状態、または立場的に多忙を極めている様子が表現されています。単なる「忙しい」よりも、責任や難題の多さがにじむ表現です。
注意点
「多事多端」は、単に「忙しい」という意味以上に、「大小さまざまな仕事・案件が同時多発的に起こっている」「収拾がつかないほど次々に事が起こる」といったニュアンスを含みます。したがって、忙しさの質が問われる表現ともいえます。
この言葉はやや格式があり、ビジネス文書や報道、講演などで用いられることが多く、日常会話ではあまり一般的ではありません。口語で使う際には、「多忙を極める」「立て込んでいる」などの平易な言葉に置き換えた方が通じやすい場合もあります。
また、似たような語に「多事多難」がありますが、そちらは「出来事が多く、かつ困難が多い」ことを指し、意味に違いがあるため混同に注意が必要です。
背景
「多事多端」という四字熟語は、漢文的構造を持ち、中国古典に由来する成語表現ではあるものの、明確な出典がある故事成語ではありません。「多事」は「事件や用件が多いこと」、「多端」は「端(はじまり)が多いこと」、すなわち「手をつけるべき案件が数多くあること」を意味します。
この熟語の語構成は、並列的に同義語を重ねる漢語の定型に沿っており、意味の強調や響きの美しさを持たせる効果があります。特に、政界や官界の人物に対して使われることが多く、「多事多端の折り」といったかたちで丁寧語を添えて用いられる表現でもあります。
日本では明治期以降、文語調の書き言葉として定着し、公式文章や公的な表現においてよく見られるようになりました。新聞の論説や挨拶文などでも頻繁に使われ、「お忙しい中~」という表現を格調高く言い換える語として現在でも使われています。
また、ビジネスシーンや政治的文脈での使用が多いため、「多事多端の折、お体を大切に」など、慣用的な挨拶表現にもなっています。
類義
まとめ
「多事多端」は、数多くの案件や用件に追われる多忙な状態を意味する表現です。
この言葉は、単なる忙しさを超えて、重要な事柄が同時に発生している状況や、責任の重さまでを含意する点に特徴があります。日常的な口語よりも、やや改まった文脈やフォーマルな表現として使われることが多い語です。
現代でも、政財界や大企業の要職者、あるいは危機対応を迫られる職業の人々に対して、その立場の重みと多忙さを表す際にしばしば用いられます。たとえば「多事多端の折、恐縮ながら~」というような定型句は、相手の負担を慮る敬意ある言い回しとして広く用いられています。
「多事多端」の状態をどう乗り切るかは、現代の働き方や社会的責任のあり方を考える上でも重要なテーマといえるでしょう。限られた時間と労力をいかに配分し、優先順位をつけて対処するかが、まさにこの言葉に表される状況で問われているのです。