多岐多端
- 意味
- 物事が多方面にわたっていて、非常に忙しいこと。
用例
業務や活動の範囲が広く、日々さまざまな対応に追われているような状況で使われます。
- 経営者としての彼の仕事は多岐多端で、常にスケジュールが詰まっている。
- 研究者の役割は多岐多端であり、教育や社会貢献にも時間を割かねばならない。
- 総務部の業務は多岐多端に及び、専門外の対応も多い。
これらの例では、「多岐」は仕事や物事の種類が多いこと、「多端」はその数が多く、手間もかかることを指しており、非常に多忙で多面的な活動を求められる状況を表しています。
注意点
一字違いの四字熟語に「多岐多様」がありますが、中心となる意味は異なります。混同しないように注意しましょう。
「多岐多端」は、単に忙しいことを意味するだけでなく、扱う事柄の内容が多様である点に重きがあります。「多忙」とは異なり、専門性の異なる複数の分野に対応している状況や、変化に富む職務内容に対して使うのが適切です。
また、自分自身の多忙さを述べる際には、やや硬い印象や自己顕示的な響きを伴う場合があるため、使いどころには注意が必要です。上司や他人に向けて使うときは、敬意や配慮を含めた文脈が求められます。
背景
「多岐多端」という四字熟語は、「岐」が分かれ道や枝分かれを意味し、「端」が物事のはじまり・きっかけ・側面を意味することから、仕事や任務が枝分かれのように多方向に及び、それぞれに始点があって多様であることを表現しています。
この熟語は、古典的な語彙として古くから用いられており、特に中国の漢文や古文書の中でも政治家や学者の多忙さ、または職務の複雑さを表す語句として使われてきました。
日本においては、明治以降の官僚制の発展や企業組織の高度化にともない、「多岐多端」という語が頻繁に登場するようになります。とりわけ戦後の高度経済成長期には、経営者・行政官・技術者など、多分野に精通することが求められた職種に対して「多岐多端な業務」という表現が好んで用いられました。
現代においてはビジネス文書や挨拶文、報告書などのフォーマルな文章でよく見かけられ、相手の忙しさをねぎらう場面などでも使われています。たとえば「ご多岐多端のところ恐縮ですが~」というような慣用表現としても定着しています。
類義
まとめ
「多岐多端」は、物事が多方面に及び、忙しさが重なる状態を意味する表現です。
この言葉には、単なる「忙しい」以上に、複数の分野にわたって精力的に活動している様子や、その人の責任の重さ・職務の幅広さが込められています。ゆえに、目上の人や多忙な専門職に対して敬意を込めた形で使われることも多く、ビジネスや公的な文脈でも重宝されています。
日々の業務が複雑化・多様化していく現代社会において、「多岐多端」という言葉は、多忙な人々の実情を的確に映し出す語として、今後も広く使われていくことでしょう。