多士済々
- 意味
- 優れた人物が数多く集まっていること。
用例
才能ある人材が多く集まった組織や集団、または歴史上の人物が輩出された時代などを評価する場面で使われます。
- 近年のこの大学は多士済々で、各界に優秀な人材を輩出している。
- 明治初期は政治・文学の両面で多士済々の時代といえる。
- 今回のプロジェクトには多士済々のメンバーが集結し、大きな成果が期待されている。
いずれの例でも、単に人数が多いというより「質と量を兼ね備えた人材が集っている」ことが強調されています。
注意点
「多士済々」は、表面的には人数の多さを表しているようにも見えますが、実際には「才能ある人物が多くそろっている」という点が本質です。したがって、単に人手が多い、という意味で使うと誤解を招くことがあります。
また、「済々」の読みは「せいせい」ですが、「さいさい」などと誤読されることもあるため、読み方には注意が必要です。文章語としての格調の高さもあるため、カジュアルな口語文にはややそぐわない面もあります。
一方、対象となる人物たちの水準が一定以上でなければ、皮肉と取られるおそれもあるため、慎重な文脈選びが求められます。
背景
「多士済々」は、中国・前漢の歴史書『漢書(かんじょ)』に記された言葉に由来します。「士」は学問・教養・人格を備えた人材を意味し、「済々」はすぐれていることや目立っているさまを表します。つまり「多くの優れた人々がそろっている」という状態を讃える成語です。
この言葉は、特に国政や学問の分野において、多くの有能な人材が集まり活躍している状況を称えるために古来より用いられてきました。中国では官僚制度が発達し、科挙による人材登用が進んだため、「多士済々」という表現は政治的理想と結びついて重視された背景があります。
日本では、明治維新以降の文明開化の時代に、西洋文化と伝統文化の融合を図る上で、多くの有為な人材が登場しました。その文脈で「多士済々」という言葉がしばしば用いられ、「人材豊富な時代」「知的活力に満ちた社会」の象徴語として定着していったのです。
また、教育機関、企業、政界などにおいて「多士済々」は現在でもよく使われる語であり、人材の豊かさが競争力や魅力の源泉とみなされる文脈において高く評価されています。
類義
対義
まとめ
「多士済々」は、優れた人材が数多くそろっていることを表す言葉です。
この言葉は、人数の多さだけでなく、各人の資質や能力の高さに重点を置いて評価する際に用いられます。古典に由来する格調高い語でありながら、現代においても、組織や社会の充実ぶりを示すための的確な言葉として活用されています。
特に知識や技術を重んじる現代社会では、優秀な人材の集積が成功の鍵となる場面も多く、「多士済々」の状態は理想とされます。この言葉を使うことで、単なる賑わいではなく、質の高い人的リソースが存在しているという肯定的な評価を端的に伝えることができます。
時代や組織の盛衰を語るうえで、象徴的に用いられることも多い「多士済々」は、今後もなお価値を持ち続ける表現といえるでしょう。