駄目を押す
- 意味
- 念を入れて、もう一度確認すること。
用例
すでに確認・説得・決定が済んでいる場面で、より確実を期すために重ねて念押しする際に使います。
- 明日の集合場所について、もう一度メッセージで駄目を押しておこう。
- 契約書を出す前に、条件に間違いがないか部長に駄目を押された。
- 試験前夜に「ここは絶対出る」と先生が駄目を押したところが、本当に出た。
いずれも、一度伝えた・確認した内容に対して、再確認・念押しすることによってミスや誤解を防ごうとする行為を表しています。
注意点
ここでの「駄目」とは、後述するように囲碁用語に由来するもので、日常的に使う「ダメ」とはまったく意味が異なります。
「駄目」と聞くと、一般には「良くない」「無理だ」といった否定的な意味を連想しがちです。そのため、「もう一度失敗する」「悪い方向に決定づける」といったネガティブな意味でこの表現を誤用してしまう人もいますが、本来は「最後の確認・念押しをする」「決着を確実なものにする」といった、前向きな意味で使われます。
また、あまりに強い「駄目の押し」は、相手を信用していないように受け取られる可能性もあります。ビジネスや人間関係においては、相手との信頼関係を損ねないよう、言い方やタイミングに注意が必要です。
背景
「駄目を押す」という表現の語源は、囲碁の用語にあります。囲碁では、終局時に両者が陣地とみなす石の目(地)を確認し合い、最終的な勝敗を決めます。その際、盤上に残った無意味な空き地、すなわち勝敗に影響しない場所を「駄目(だめ)」と呼びます。
この「駄目」は、価値がないという意味であり、対局の勝敗には直接関係ありません。しかし、これらの「駄目」を互いに打ち埋めてから終局するのが正式な作法であり、それによって盤面が完全に決まり、誤解や曖昧さを残さずに勝敗を確定させることができます。
この囲碁の「駄目を打って確定させる」という行為が転じて、何かを「念押しして確実にする」という意味の慣用句として広まりました。明治期以降、囲碁の普及とともにこの言葉も日常語として一般に定着したと考えられます。
今日では、囲碁の知識がない人にも使われる表現となっており、「最終確認」「最終的な一言」「念のための一手」といった意味で広く用いられています。もとの意味が理解されにくくなっているためこそ、誤解を避けるために由来を知っておくことは有益です。
類義
まとめ
「駄目を押す」は、すでに済んでいることに対して、さらに念押しして確実にするという意味を持つ言葉です。由来は囲碁の作法にあり、勝敗に影響のない空き地を埋めて終局することから来ています。
この言葉は、確認や説得、決定事項に対して「最後のひと押し」を行う場面で非常に有効に働きます。ただし、言い方によっては相手の信用を損なうこともあるため、丁寧さと配慮が必要です。
「駄目」という語の持つ否定的なイメージに惑わされず、正しい意味と用法を理解することで、この表現をより効果的に使いこなすことができるでしょう。「駄目を押す」という行為は、慎重さと責任感の表れとして、今後も多くの場面で重宝される言葉であり続けます。