WORD OFF

たかきにのぼるにひくきよりす

意味
何事も手近なところから着実に進めていくのがよいということ。

用例

大きな目標を達成するには、基礎を固めることが必要であり、順を追って着実に努力することが大切だという場面で使われます。

これらの例文では、どれも大きな成果を上げた人物や、将来の目標に向けて努力を重ねる様子に注目しています。高みを目指すには地道な努力が必要であり、すぐに結果を求めず、基礎を大切にする姿勢が正しい道であると伝えています。

注意点

この言葉は、「高き=立派な成果」「卑き=些細な努力」という構図を前提にしていますが、卑しいこと・つまらないことを単に軽視するわけではありません。むしろ、その「卑き」段階があるからこそ、「高き」に至れるのだという視点を重んじています。

また、努力のプロセスを順序立てて踏むことを促す言葉であり、決して「卑き」場所にとどまれと言っているのではありません。基礎の重要性を強調する一方で、最終的には高みに至るべきであるという向上心も含んでいます。

この言葉を掲げる際には、成長の段階を見失わず、焦らず着実に前へ進むことが本質であることを理解する必要があります。

背景

「高きに登るに卑きよりす」ということわざの背景には、儒教の古典『中庸』の思想があります。『中庸』は中国・周代の儒家思想をまとめた書物で、人間の徳や道を修めるための適度さと段階を重視しています。この中で「高みを目指す者は、まず低いところから身を慎むべし」という考え方が示されており、この箴言がことわざとして日本に伝わったと考えられます。

また、古代中国では階級社会が厳しく、地位や能力を急に高めることは危険とされていました。小さな段階を踏まずに高みに達しようとする者は、周囲の反発や自らの失敗を招くと警告されています。ことわざも、この考え方を簡潔に表現したものです。

このことわざは倫理教育や武士道、日常の教訓としても広く用いられました。若者や後継者に対して「まずは基本を学び、低い位置から努力を積み重ねよ」という戒めとして使われたのです。

現代でも、学問や仕事、スポーツなどさまざまな分野で応用できます。たとえば、新しいプロジェクトを始めるとき、最初から大きな目標ばかりを追うのではなく、基礎的な経験や小さな成果を積み上げることの重要性を説いています。

このように、「高きに登るに卑きよりす」は、古典に基づく段階的努力の価値を示す教訓として、時代を超えて伝えられています。

類義

まとめ

「高きに登るに卑きよりす」は、理想や目標を成し遂げるには、まず足元を固め、小さな積み重ねを怠らないことが何よりも重要であるという教訓を含んだ言葉です。

この表現は、努力の価値や、地道な歩みの尊さを静かに語りかけてくれます。華やかな結果や地位は、見えにくい時間と労力の積み重ねによって支えられているという事実に、あらためて目を向けさせてくれます。

また、自分がいま「卑き」場所にいるように感じていたとしても、それは「高き」場所へとつながる通過点であると信じられる力になります。焦らず、自分の歩調で進み続けることの大切さを教えてくれるのです。

基礎をおろそかにせず、目標に向かって着実に努力を重ねるという姿勢は、どんな時代にも通じる普遍的な価値観です。すぐに結果を求めがちな現代においてこそ、「高きに登るに卑きよりす」という言葉が持つ意味は、より深く心に響きます。