WORD OFF

ことみつもっり、せつもっやぶ

意味
物事は秘密を守ってこそ成就し、秘密を漏らすことによって失敗するという教訓。

用例

計画や交渉、準備段階の事柄を他人に話してしまうことで妨害されたり、成功を逃したりするような場面で使います。また、情報管理の重要性を説くときにも用いられます。

これらの例文では、計画を成功させるためには情報の扱い方が極めて重要であることが強調されています。慎重な言動が求められる状況での自戒や忠告として効果的に使われます。

注意点

この言葉は、他人との情報共有を否定するものではありませんが、話す相手やタイミングを誤ると大きな損失を招くという警鐘を含みます。したがって、単なる「秘密主義」とは異なり、「必要なときに必要な人にだけ知らせる」という情報コントロールの重要性を伝えるものです。

また、ビジネスや政治などの場面では、この言葉を盾にして過度に閉鎖的な姿勢に陥ると、信頼関係が築けなくなる恐れもあります。秘密を守ることと、信頼を得ることのバランスを見極める必要があります。

使う相手や文脈によっては、「疑われている」「信用されていない」といった印象を与える場合もあるため、伝え方には配慮が求められます。

背景

「事は密を以て成り、語は泄を以て敗る」は、中国の古典『漢書(かんじょ)・枚乗伝』などに見られる言葉で、古来より政治や軍事、経済、さらには人生訓として重視されてきた警句の一つです。

この思想は、中国古代の統治論に根ざしており、政治的な策略や軍事作戦は秘密裏に進めなければならず、一度でも情報が漏れれば失敗に直結するという現実的な教訓を反映しています。漢の時代の文人・枚乗(ばいじょう)は、上奏文の中で「言葉が漏れれば失敗する」と述べ、権謀術数が入り混じる政争のなかでの慎重な言動を説きました。

日本でも、戦国武将や軍学者たちはこの言葉を重く受け止めており、兵法書や家訓などにたびたび引用されました。有名な黒田官兵衛や真田昌幸、徳川家康なども、極度に秘密主義を貫くことで知られ、まさにこの言葉を体現していたといえるでしょう。

また、明治以降の実業界においても、計画段階の情報漏洩が致命的になり得ることから、この言葉は経営戦略や外交交渉などにも応用され、リーダーシップ論の中でもたびたび語られています。

現代においては、SNSやメディアなどを通じて情報が瞬時に拡散する時代となり、個人の不用意な発言やリークが重大な結果を招くケースが増えています。こうした状況下で改めて見直されているのが、この古典的な戒めです。

類義

まとめ

慎重な行動と適切な情報管理が、成功の鍵を握るという考え方は、古代から現代に至るまで変わらぬ真理です。「事は密を以て成り、語は泄を以て敗る」は、その本質を端的に表した名言であり、計画や目標を達成するうえでの重要な指針となります。

この言葉は、軽率な発言や無用な情報開示の危険性を警告するだけでなく、「語らないこと」の知恵を教えてくれます。沈黙は時に雄弁であり、語らぬことによって守られる信頼や成果もあるのです。

特にチームや組織を率いる立場にある者にとっては、この言葉の意味を深く理解し、慎重な言動を徹底することが求められます。反対に、周囲の信頼を得るために語るべき時には明瞭に語るという判断力も、また同様に大切です。

現代社会においては、誰もが発信者となれる時代だからこそ、自分の言葉が何を生み、何を壊すのかを考える必要があります。この言葉が語りかけてくるのは、そうした慎みと賢さを持って言動に臨むことの大切さなのです。