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八面はちめん玲瓏れいろう

意味
どの方面から見ても隙がなく、明るく澄んでいて円満であること。また、人当たりがよく、誰に対しても柔軟に対応できること。

用例

人間関係において、誰からも好かれる社交的な人物や、すべてにおいて抜かりない印象を与える人物について語る場面で使われます。

いずれの例も、対人関係や組織内の調整において、円滑な人間関係を築ける人物への称賛として使われています。冷静さと社交性の両立を表現するのに適した言葉です。

注意点

「八面玲瓏」は非常に美しく整った人物像を示すため、賞賛の語として用いられますが、使い方を誤ると「八方美人」的な皮肉に近く響くこともあります。肯定的に使うか、揶揄的に使うかは文脈と語調によって変わるため、注意が必要です。

また、「玲瓏」は「澄みきって美しく、きらきらと輝いているさま」を指す言葉であり、比喩的には「澄んだ心」「透明感ある知性や人格」を意味します。したがって、「八方に抜かりなく立ち回る」だけの人物には本来ふさわしくない語です。

背景

「八面玲瓏」は、中国古典に由来する漢語的な語感を持ちながらも、日本で発展的に用いられるようになった四字熟語です。

「八面」とは、あらゆる方向・方面を意味し、「全方位に目が行き届いている」または「全体的に整っている」ことを表します。一方の「玲瓏」は、美しい玉がカラカラと鳴るような、澄んだ音や輝きを持つ様子を指す言葉で、中国の詩文の中では「才気煥発」や「清廉潔白」といった意味合いで用いられてきました。

この二語が組み合わさることで、「どの面から見ても美しく澄んでいて、欠点がない」「人柄や態度に曇りがなく、誰に対しても好印象を与える」といった意味が生まれました。古典的には器物や風景に対して使われることもありましたが、近代以降は主に人物の性格や振る舞いに対して使われるようになりました。

日本ではとくに明治から昭和初期にかけて、政治家や外交官、文化人の人物評としてこの言葉が使われ、周囲への気配りや全方位的な信頼感を示す語として定着していきました。新聞や随筆、小説などでは、優れた人格者を描写する際の美辞麗句として使われることが多い語です。

類義

まとめ

「八面玲瓏」は、どの方向から見ても透明感があり、隙のない美しさと柔らかさを兼ね備えた人物を表す四字熟語です。

この言葉には、単に器用に立ち回るという以上に、「誠実さ」「清らかさ」「円満な気質」といった人格的魅力が含まれており、多方面への配慮と人間的魅力を兼ね備えた人物を称えるのにふさわしい表現です。

その語感は上品で美しく、文学的・詩的な文章にもよく合います。現代でも、人望ある人物や、多面的な才能を持つ人に対する高い賛辞として生きている言葉です。

誰に対しても同じように誠実に、しかも自然体で接することができる。そんな理想的な人間像を、「八面玲瓏」は静かに、そして美しく映し出してくれます。