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全知ぜんち全能ぜんのう

意味
すべてを知り、すべてを行う力を持つこと。

用例

神や絶対的存在の力を語るときに使われます。また、比喩的に「何でもできる人」「万能の才能を持つ人」に対しても使われることがあります。

この表現は、通常の人間的な知恵や能力をはるかに超えた存在を称えるために使われます。宗教的な文脈では、創造主や神の性質として特に重要視される言葉です。

注意点

「全知全能」は本来、神格的・宗教的な存在に用いる言葉であり、日常的な人物に使うと誇張的・皮肉的に響く場合があります。とくに「なんでも知っていてなんでもできる人」として人物に対して使うときは、賞賛・揶揄どちらにも受け取られる可能性があるため、使い方には注意が必要です。

また、比喩として使う際にも、「あらゆる能力を持っている」ことの例証がなければ、過剰に持ち上げているように感じられることがあります。

背景

「全知全能」は、「すべてを知る(全知)」「すべてをなす力がある(全能)」という二つの概念を組み合わせた四字熟語で、西洋的な宗教思想、とくにキリスト教神学における「God is omniscient and omnipotent(神は全知全能である)」という思想の影響を強く受けた概念です。

日本では明治期以降、キリスト教思想や西洋哲学が紹介される中で「全知全能」という訳語が定着しました。特にプロテスタント神学における神の三属性「全知(omniscience)」「全能(omnipotence)」「遍在(omnipresence)」のうちの二つを漢語に落とし込んだものがこの熟語です。

一方で、中国古典にも「全知」や「全能」という語はそれぞれ存在しましたが、それらは人間に対する理想的な知性や力量として語られており、必ずしも神格的ではありませんでした。その意味で「全知全能」という熟語は、漢語的表現をベースにしつつも、西洋思想の翻訳によって生まれた、比較的新しい思想語といえます。

現代においては、宗教的・哲学的な議論のみならず、フィクションやファンタジー作品などにおいても「神のような力」「万能の存在」を表現する定番語句として広く使われています。また、現実の人物に対しても比喩的に使われるようになり、賞賛・皮肉・驚嘆などさまざまな感情を込めた用法が生まれています。

まとめ

「全知全能」は、すべてを知り、すべてを行う力を持つという、完全無欠の力を意味する四字熟語です。

この表現は、本来は神の性質を形容するために用いられたもので、人間の力や知恵をはるかに超えた存在への敬意や畏怖を込めて使われてきました。明治以降に西洋思想の影響を受けて定着した比較的新しい熟語であり、宗教・哲学・文学・フィクションなど多様な領域で用いられています。

現代では、人物を称賛したり、驚きを込めたり、あるいは皮肉として用いることもあるなど、用法の幅が広がっていますが、その核にあるのは「限界のない能力」「知の完全性」という概念です。

「全知全能」という言葉は、理想や神話的な力を語るうえで最も象徴的な表現のひとつであり、人間の知と力の到達点を象徴する語でもあるのです。