是々非々
- 意味
- 道理にかなっているかどうかで、賛否を判断する態度。
用例
組織や政治の判断、個人の立場表明などにおいて、感情や立場にとらわれず、是は是、非は非として冷静・客観的に判断する姿勢を示す場面で使われます。
- 与党の提案でも内容が良ければ支持するという、是々非々の立場を貫いた。
- 彼はいつも是々非々で判断するから、信頼できるアドバイザーだ。
- 感情に流されず、是々非々で物事を見極めることが、組織運営には不可欠だ。
この言葉は、何かに無条件で賛成・反対するのではなく、個別の案件や状況に応じて公平に判断する姿勢を表します。信念や公正さを強調したいときに効果的です。
注意点
「是々非々」は、しばしば「どっちつかず」「日和見主義」と誤解されることがありますが、本来は中立ではなく、公平な評価のもとに肯定・否定を判断する姿勢です。場面によっては曖昧な態度と受け取られないよう、判断の理由を明確にする必要があります。
また、政治用語として使われる場合、表面的には「是々非々」と言いながら、実質的には特定の勢力に偏っていることもあるため、使い方によっては慎重さが求められます。
背景
「是々非々」という語句は、日本の近代政治においてしばしば用いられてきた重要な用語です。「是(これ)は是」「非(あれ)は非」と、判断基準を理非曲直に置く姿勢を簡潔に表現しています。もともとは漢語的な構成を持つ熟語であり、「是」=正しい、「非」=誤り、という意味を明示的に分けて用いる点が特徴です。
特にこの言葉が有名になったのは、昭和初期の政党政治において、一部の政党や論客が与野党の立場にかかわらず、提案内容に応じて判断を下すという姿勢を打ち出す際に使われた場面です。政権支持か否かにかかわらず、政策単位で評価する柔軟な姿勢は、民主主義的な観点からも理にかなったものとされました。
しかし一方で、戦後以降になると「是々非々」はしばしば便利な言い回しとして濫用されることもありました。支持も反対もしない、あるいはその場その場で態度を変えるような姿勢が「是々非々」と称されることもあり、言葉の重みが薄れる時期もありました。
とはいえ、本来の意味である「一貫した判断基準に基づく公平な評価」は、現代の行政、企業、教育の現場でもなお尊重されるべき価値観です。SNSやメディアで極論が飛び交う中、「是々非々」の姿勢は冷静な視点を保つための重要な態度として再び見直されています。
類義
まとめ
「是々非々」は、特定の立場や感情に左右されることなく、物事を公平に評価し、道理に照らして正誤を判断する態度を表す言葉です。個別の内容ごとに柔軟かつ冷静に判断する姿勢は、複雑化する現代社会においてますます重要視されています。
この言葉は単なる中立ではなく、評価基準に一貫性を持ちつつ、柔軟に判断するというバランスの取れた態度を示しています。そのため、組織内での意思決定や、対立を乗り越えるための対話にも有効です。
「是々非々」という姿勢が社会的に広がれば、感情論や派閥主義にとらわれた議論ではなく、建設的な議論や意思決定が可能になります。道理を重んじる成熟した判断が必要な時代だからこそ、この言葉の本来の意味と価値をあらためて見直すことが求められています。