高材疾足
- 意味
- 知勇ともに優れていること。
用例
知力と行動力の両方を兼ね備えた人物を称賛する際に使われます。学業・仕事・武芸などあらゆる分野で、頭脳明晰かつ素早く成果を出すような人に対して使われる表現です。
- 若くして数々の事業を成功させた彼は、まさに高材疾足の人物である。
- 高材疾足な若者たちが、次々と起業の世界に飛び込んでいる。
- 彼の高材疾足ぶりは、初対面の人々をも圧倒した。
1つめの例文では、知的能力と実行力で成果を挙げた実業家を称えています。2つめは、知識とスピード感で動く若者たちの活躍を述べています。3つめは、初対面でも伝わる圧倒的な才覚と行動力を示しています。
注意点
「高材疾足」は誉め言葉ですが、やや古風な言い回しであり、現代の日常会話で使うと堅く響く可能性があります。また、「高材」は学識や知能を、「疾足」はすばやい行動力や俊敏さを指すため、両方の要素が備わっていないとこの表現はふさわしくありません。
また、才知にあふれ、すぐに行動に移せる人物が、周囲と歩調を合わせない場合には「独走」や「出しゃばり」といったマイナス評価につながることもあるため、使う場面と文脈には配慮が必要です。
「才色兼備」「文武両道」「金声玉振」など、2つのものが備わっていることを表す言葉はいくつもありますが、表している内容はそれぞれ異なるので、よく理解して使い分けるようにしましょう。
背景
「高材疾足」は、中国古典に基づく熟語で、「高材」は優れた才能や学識を意味し、「疾足」は足が速い、すなわち行動が素早いことを表します。この二語を合わせて、「知と行」の両面にすぐれた人物像を示しています。
「高材」は『漢書』や『史記』などで、有能な人材や知識人を指す語として頻繁に登場します。単なる学識の豊かさだけではなく、国家や組織のために役立つ実践的な能力も含意される語でした。一方「疾足」は、馬や兵士などの俊敏さを形容する語から転じて、現代では「行動が速い」「機敏」といった意味で用いられるようになりました。
この二語を組み合わせた表現が見られるのは、唐代以降の文献や詩文で、特に若者の才能と将来性を賞賛する文脈で使われることが多くなります。たとえば科挙に合格した青年官僚、俊英の詩人、進取の気性を持つ軍人などが「高材疾足」と称され、社会を牽引する若き力として期待を寄せられました。
日本でも、儒学や漢詩が教養の中心にあった江戸時代には、この語は若年でありながら知行一致を体現する俊英に対する賛辞として用いられてきました。とくに武士階級においては、忠義と学問の両立を理想とした人材育成において、この言葉は高い価値を持ちました。
現代では新聞や雑誌などで若手のビジネスパーソンや研究者、起業家などを称える文脈で使われることがありますが、やや書き言葉的で格式のある表現のため、使用場面は限られます。
類義
まとめ
「高材疾足」は、すぐれた知力とすばやい行動力の両方を兼ね備えた人物を称賛する四字熟語です。才気煥発でありながら実行力にも富むことは、あらゆる分野で活躍する上で非常に貴重な資質とされます。
その語源は古代中国の文献にあり、官僚や将才などを評価するための表現として用いられてきました。日本でも儒学的価値観とともに伝わり、優秀な人材への賛辞として定着しました。
現代においても、若くして活躍する人物、理論と実践を両立させる能力を持った人々を評価する際に、この言葉は大きな説得力を持ちます。特にスピードが重視される時代においては、「高材」と「疾足」の両面を持つことは、まさに理想の人材像といえるでしょう。
ただし、この語の重みや古典性を理解したうえで、場面を選んで使うことが、この表現の魅力を最大限に引き出す鍵となります。知と行を一体にする人物にこそ、「高材疾足」という言葉はふさわしいのです。