捲土重来
- 意味
- 一度敗れた者が、勢いを盛り返して再び挑戦すること。
用例
敗北や失敗を経験したあとに、再起を図る場面で使われます。
- 選挙で落選した彼は、次の機会に捲土重来を期している。
- 前回の大会では初戦敗退だったが、今年は捲土重来を果たした。
- 一度倒産した会社が、捲土重来を遂げて業界に復帰した。
このように、「捲土重来」は過去の敗北を踏まえながら、意欲的にリベンジに臨む様子を表す際に使われます。単なる再挑戦ではなく、「巻き返し」の意志や勢いを含んだ表現です。
注意点
「捲土重来」は古典的な言い回しであり、やや格式を感じさせる表現です。日常会話ではあまり使われませんが、スポーツ、ビジネス、政治などの文脈ではよく登場します。
意味を正確に理解せず、「ただもう一度挑戦すること」と思って使うとニュアンスのズレが生じます。「捲土」は「土煙を巻き上げる」ほどの勢いを示し、「重来」は「再び来ること」を意味するため、敗退した後に勢いよく再び攻めるという強い意志と力が込められています。
また、すべての再挑戦に使えるわけではありません。たとえば、軽い失敗や日常的なやり直しのような場面では不自然になります。ある程度の劇的な敗北や困難が前提にある語だと理解しておくと良いでしょう。
背景
「捲土重来」という表現は、中国・唐代の詩人杜牧(とぼく)の詩『赤壁』の一節に由来します。その中の「東風、錯って周郎をして赤壁を失わしむ。捲土重来未だ知らず」から採られたとされます。ここでの「捲土」とは、騎兵が大地の土を巻き上げながら疾走する様子を表しており、「重来」はその勢いで再び攻め来ることを意味します。
この詩に登場する「赤壁の戦い」は、三国時代における大戦の一つであり、孫権・劉備連合軍が曹操軍を破った戦いです。杜牧の詩は、この戦いに敗れた曹操の心情を詠んだもので、敗北後も曹操が再起を期していたであろうことを表現しています。
この語句は後に、日本の武士階級や政治家の間でも広まり、「一度敗れても再び力を蓄えて返り咲く」という不屈の精神を象徴する言葉として定着しました。特に、敗者復活を美徳とする日本文化においては、「捲土重来」は多くの共感を得て用いられてきました。
近現代では、スポーツ選手の復活劇、会社や政党の再建、あるいは個人の人生の再起など、さまざまな分野でこの表現が引用され、努力と執念の代名詞として親しまれています。
類義
まとめ
「捲土重来」は、一度敗れた者が再び勢いを取り戻し、リベンジを果たそうとすることを意味する四字熟語です。単なる再挑戦ではなく、敗北の悔しさや無念を力に変えて、より強い意志と覚悟をもって挑む様子が込められています。
その由来は、三国志の名場面を題材にした唐代の詩からであり、戦いに敗れた者の再起の精神を詠んだものです。この背景を知ることで、「捲土重来」という言葉に含まれる重みと歴史的深さがより一層感じられるでしょう。
現代でも、再起にかける情熱や信念を語るとき、「捲土重来」という表現は極めて印象的に響きます。敗北は終わりではなく、新たな出発の契機であるという価値観を象徴するこの言葉は、多くの人にとって励ましと奮起の源となっています。