血湧き肉躍る
- 意味
- 興奮や感動で心が高ぶり、全身が躍動するような気持ちになること。
用例
スポーツの試合や映画、演説など、観る者・聴く者の感情を大きく揺さぶる場面で使われます。
- 決勝戦での逆転劇には、観客全員が血湧き肉躍る思いだった。
- 戦国武将の活躍を描いたこの小説は、血湧き肉躍る展開で読み応えがある。
- 彼の演説は血湧き肉躍る内容で、聴衆の心をつかんで離さなかった。
これらの例文では、感動や興奮によって心身が活性化され、内側から燃え上がるような感情が生じている様子を描いています。
注意点
ポジティブな興奮を指すことが多い表現ですが、用いる場面を選ぶ必要があります。たとえば、静かな感動や落ち着いた感銘を与える場面にはふさわしくありません。また、物理的に血が湧いたり肉が動いたりするわけではないため、比喩表現として過剰にならないよう注意が求められます。
あくまでも受け手(見ている人・聴いている人)の主観的な感情を描写する言葉であり、客観的な事実を説明するものではない点にも留意すべきです。
背景
「血湧き肉躍る」という表現は、戦争や武勇を題材とする物語、演劇、講談などの中で、勇壮な場面や興奮の頂点を描写するために用いられた比喩的な言い回しが起源とされています。江戸時代の講談や明治期の軍記物などで多用され、庶民にも親しまれるようになりました。
たとえば、敵を打ち破る武将の登場や、義を貫く英雄の決断といった場面では、聞き手の感情が自然と昂揚し、まるで血が熱くなり、筋肉が沸き立つような気持ちに包まれます。そこから「血が湧く」「肉が躍る」という身体的感覚を伴った表現が定着したのです。
戦後になると、この表現は軍事的文脈から離れて、スポーツ、音楽、ドラマ、さらには演説や社会運動に至るまで、多岐にわたる興奮や感動の描写に使われるようになりました。現在では、勇ましさや勇気を感じさせる出来事だけでなく、エンターテインメント全般における高揚感を表す汎用的な語として広く定着しています。
なお、同様に身体の反応を表す比喩表現には「背筋が寒くなる」「胸がすく」「鳥肌が立つ」などがあり、これらと並んで感情の躍動を生き生きと伝える言葉として扱われています。
類義
対義
まとめ
「血湧き肉躍る」は、心が強く動かされ、全身が興奮と感動に包まれるような高揚感を表す表現です。戦いやスポーツ、劇的な物語など、人の魂に火をつけるような場面で特に効果的に使われます。
この言葉は、江戸や明治の講談・軍記物などに由来し、庶民の間でも熱狂と感動を共有する手段として用いられてきました。その後、表現の対象は広がり、現代においても映画や舞台、スポーツ、演説など、多くの分野で使われています。
人間の感情や情熱が、言葉や行動によって揺り動かされる瞬間――それを的確に言い表すのが「血湧き肉躍る」です。この表現には、人の心に火を灯す力や、感動を分かち合う喜びが込められているのです。