縦の物を横にもしない
- 意味
- 非常にめんどうくさがりやで、ほんの少しの手間すら惜しんで動こうとしないこと。
用例
何もしようとしない人の様子や、極端に無精な態度を非難・皮肉する場面で使われます。
- 彼は休日になると縦の物を横にもしないほどの無精ぶりで、一日中ソファから動かない。
- あの人は目の前にリモコンがあっても、他の人にやらせようとする。縦の物を横にもしないとはこのことだ。
- いくら疲れてるとはいえ、縦の物を横にもしない態度では家事を分担しているとは言えないよ。
このように、動作の少なさや、ものぐさな態度を極端に表す際に使います。誇張表現としてのユーモアを含んで使われることもあります。
注意点
この表現はかなり強い意味合いを持つため、直接的に誰かに言うと、侮辱や不快感を与える可能性があります。特に相手が無精であることを指摘するような場合は、冗談めかした口調で用いる、あるいは自虐的に使うなどの工夫が必要です。
また、比喩表現であることを理解していないと、文字通りの意味に取られてしまうこともあるため、文脈やトーンによって意図を明確にする必要があります。
背景
「縦の物を横にもしない」という言い回しは、古くから使われてきた日本語の慣用句で、「ちょっとした手間を惜しむほど動かないさま」を誇張して表現しています。縦になっているものを、ただ横にするだけという、ごくわずかな動作すら行おうとしないというところから、極端な怠け者・無精者の象徴として用いられるようになりました。
このような表現は、江戸時代の滑稽本や落語など、庶民生活の怠けぶりや横着さを面白おかしく描く文芸にも登場しており、日本人の「働き者」を理想とする価値観の裏返しとして存在していたと言えます。つまり、「働かないこと」や「怠けること」は本来恥とされるものだったため、それを戯画的に取り上げることで、笑いとともに皮肉を利かせた文化が育まれてきたのです。
現代においても、特に家庭内や職場などで「何もしたがらない人」を形容する際に使われることがあり、いまだに生きた表現として定着しています。
まとめ
「縦の物を横にもしない」という言葉は、怠け者の象徴として用いられ、わずかな動作さえも惜しむような極端な無精を皮肉る表現です。その誇張されたイメージは、聞き手に強烈な印象を与え、怠惰な態度を軽妙に、あるいは厳しく批判する場面で効果を発揮します。
この言葉の背景には、日本人が勤勉を尊ぶ文化のなかで、「怠けること」を戯画的に描く風土がありました。そのため、この表現には単なる侮蔑ではなく、どこか笑いを誘う側面も含まれています。
しかしながら、使用には注意が必要です。特に人間関係においては、過度に相手を非難するトーンで使うと誤解や反発を生む恐れがあります。軽い冗談として使うか、自分に対して用いることで、場を和ませながら意図を伝えることができるでしょう。
時代が変わっても、「何もしない」ことへの風刺として、「縦の物を横にもしない」という言い回しは、今後もさまざまな場面で使われ続けるに違いありません。