WORD OFF

犬猿けんえんなか

意味
非常に仲が悪いこと。

用例

性格や考え方の違いなどから、互いに強い反感を持ち、絶えず衝突してしまう二人の関係を形容する際に使われます。日常の会話からビジネス、芸能報道など幅広い場面で使用されます。

いずれも、人間関係における深い対立や不和を端的に表しています。「単なる不仲」よりも一段階強い、感情的な嫌悪がある関係性を指します。

注意点

この言葉は、単に「仲が悪い」だけでなく、「互いに強い感情的な対立がある」状態を示すため、冗談で使うには注意が必要です。軽く使ったつもりでも、当事者を侮辱するように受け取られる可能性があります。

また、「犬」と「猿」という動物を用いているため、語感がやや激しく感じられる場合があります。特にビジネスの場などでは、オブラートに包んだ表現に置き換える方が無難なこともあります。

関係修復の可能性がある場合や、当事者同士が本当は互いに気にしていない場合などには不適切です。この言葉には「和解の余地がないほどの不仲」といった印象が強く含まれるため、文脈や感情の度合いに十分注意する必要があります。

背景

「犬猿の仲」という表現は、「犬と猿は本能的に仲が悪く、出会うと必ず争う」という俗信や言い伝えに由来します。実際の動物としての犬と猿が常に不仲というわけではありませんが、性質の違いや行動様式の相違から、たとえば猿が犬をからかったり、犬が猿を威嚇したりといった対立的な描写は、昔話や民間伝承の中でたびたび語られてきました。

古代中国にも同様の発想があり、儒教や道教の影響を受けた説話の中でも、動物の性格を対比させる形で「相容れない存在」として描かれたケースがあります。日本では、特に江戸時代以降、芝居や講談の中で「犬猿の争い」がたびたび使われ、人間関係の例えとして定着しました。

この表現は、動物の本能や性格を人間関係に投影する「寓意表現」としての典型でもあり、漢語的な語感を持たずに親しみやすいため、現代の会話でも頻繁に登場します。加えて、擬人化された動物のイメージが伝わりやすいため、絵本や子供向け作品でも目にすることが多い言葉です。

また、昔話『桃太郎』では、犬・猿・雉が一緒に鬼退治に向かう仲間として描かれていますが、途中で猿と犬がけんかをする場面もあり、そこで「犬猿の仲」という表現の原型が再確認されることもあります。

類義

対義

まとめ

「犬猿の仲」は、互いに相手を嫌い、顔を合わせれば争いになるほどの不仲を端的に表す言葉です。単なる価値観の違いや距離感ではなく、強い感情のぶつかり合いがある関係性を示します。

その表現の裏には、犬と猿という対照的な性格の動物を例に取ることで、「本質的に相容れない」者同士の関係を浮き彫りにする寓意性があります。だからこそ、仲が悪い人間関係を説明する際に、非常に伝わりやすい言葉として重宝されてきました。

ただし、あまりに激しい印象を与えるため、使い方によっては相手を傷つけたり、対立をあおることにもなりかねません。状況や相手への配慮を忘れずに、適切な場面で使うことが求められます。

人間関係にはさまざまな形がありますが、感情的な対立が激化しないよう努める姿勢もまた、現代における知恵といえるでしょう。感情がぶつかり合うとき、この言葉は、関係を見直すひとつのきっかけにもなるかもしれません。