WORD OFF

いわがた

意味
言葉ではうまく言い表せないこと。

用例

説明しようとしても適切な言葉が見つからない、あるいは説明をためらうような事情がある場面で使われます。感情が絡んでいたり、語るには複雑な背景があったりする場合に用いられます。

これらの例はいずれも、言葉にして説明するのが難しい、あるいはしたくない状況を表しており、含みをもたせる表現として使われています。

注意点

「曰く言い難し」はやや古風で文語的な言い回しであり、日常会話ではあまり用いられません。文章語や書き言葉、特に文学的な文章やエッセイ、またはかしこまった表現の中で使われるのが一般的です。

「いわくいいがたし」という読み方も古風であり、現代的に置き換えるなら「言葉では言い表せない」「説明しづらい」といった表現に変えるのが自然です。使いどころを誤ると、回りくどく聞こえたり、説明を避けているような印象を与えることもあるため、文脈をしっかり考慮して使うことが望まれます。

また、「曰く」は「言うことには」といった意味で使われることもありますが、「曰く言い難し」は一つの成句であり、別の意味として解釈されないよう注意が必要です。

背景

「曰く言い難し」は、漢文的な構造を持つ日本語表現です。「曰く(いわく)」は古語・漢文訓読において「言うには」といった意味であり、「言い難し」は「言うのが難しい」という意味を持ちます。つまり、「言うには難しい」と直訳でき、転じて「言葉で説明できない」「何とも言いようがない」といった意味で定着しました。

このような言い回しは、儒教的教養を身につけた知識人たちの間で使われた表現であり、古典文学や漢詩の影響を強く受けています。特に江戸時代以降の漢文素養が求められた知識層では、「曰く○○」や「○○難し」といった表現は教養の一端として定着していました。

現代においても、特定の感情や複雑な事情を、あえて説明しないことで余韻や含みを持たせる文学的な効果があります。そのため、小説や評論、演劇脚本などでも使われ続けており、「すべてを語らず、察してもらう」という日本語特有の美意識を反映しています。

類義

まとめ

「曰く言い難し」は、事情や感情が複雑で、言葉では簡単に説明できない状態を意味する文語的な表現です。語らずとも伝える、あるいは語りすぎないことの美徳を重んじる日本語の中で、この言葉は含蓄と余韻を持って用いられてきました。

現代の日常会話ではあまり聞かれないものの、文学や評論、エッセイなどでは、情感を残した表現として重宝されています。すべてを言葉にせず、「語らぬ中にある真実」に気づいてもらうという奥ゆかしさが込められており、日本語の表現力の奥深さを象徴する言い回しといえるでしょう。

「曰く言い難し」をうまく使いこなすことで、文章に深みや品格を加えることができるだけでなく、読み手に想像する余地を与える表現力も養われるはずです。